大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)763号 決定

そこで、建基法第六五条と民法第二三四条第一項との関係について検討するに、建基法は、国民の生命健康および財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資するために、建物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めた法律であるから(建基法第一条)、「相隣接する不動産が完全に利用されるようにするために、これら不動産の所有権に一定の制限を加え、不動産の利用の相互の調節を図ることを目的とする民法の相隣関係に関する規定」とは異り、一般的には建物所有者及び建築主相互間の建物建築に伴う私的権利関係を規律することを直接目的とするものとはいえず、建基法第三章第五節防火地域の諸規定の内容も、そのほとんどは、右の観点から新らたに建てられる建物の建築に公法的制限を加える趣旨のものと解せられるのであるけれども、同法第六五条が、防火地域または準防火地域にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、建築物の外壁を隣地との境界線に接して設けることができると定めているのは、かような地域内にある外壁が耐火構造の建築物については、その外壁を隣地の境界に接して設けることを許容しても、防火という公益上の観点からしてなんらの支障がないものとし、相隣者の立場をも考慮したうえ、かような地域に属する土地の合理的な高度、効率的利用を図ろうとする趣旨に出たものと解するのが相当であるから、右法条はわが国古来の慣習を成文化したに止まる民法第二三四条一項の規定に対する特則を定めたものであつて、相隣関係にある土地についても所定の要件のもとに、右民法の規定の適用を排除し、相隣者に対し建築物の外壁を境界線に接して設けることを許容したものと解すべきである。

(古山 川添万 秋元)

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